「退職届って、どうやって書けばいいの?」——私が初めて退職届を書いたとき、そんな基本的なことさえ誰にも聞けなくて、夜中にネットで調べ回った記憶があります。
退職届と退職願の違いもよくわからないまま書いてしまい、師長に「これは退職願ね」と指摘されて恥ずかしい思いをしました。そんな経験があるからこそ、看護師が退職届で失敗しないために知っておくべきことを、テンプレートつきでわかりやすくまとめました。
退職届と退職願——混同しがちな2つの書類の違い
退職届と退職願は似ているようで、法律的な意味がまったく異なります。ここを理解せずに提出すると、私のように「書き直してください」と返される事態になります。
退職願は「退職したいとお願いする書類」です。会社側が承諾しなければ効力が発生しないため、受理されるまでは撤回も可能です。対して退職届は「退職することを一方的に通知する書類」です。民法では退職の意思表示から2週間で雇用契約が終了するため、退職届を提出すると原則として撤回できません。
私が働いていた病院では「退職願を師長に提出 → 上長の承認後に退職届を事務局へ提出」という流れが就業規則に明記されていました。病院によっては退職届1枚だけで済む場合もありますし、病院指定の様式がある場合もあります。まず就業規則か事務局に確認するのが最善です。
退職願
退職のお願い。承諾前なら撤回できる
退職届
退職の通知。原則として撤回不可
病院指定様式
独自フォーマットがある場合は優先
提出前に確認
就業規則・提出先・提出方法を確認
退職届は提出した瞬間から「退職の意思表示」として扱われます。「やっぱり辞めるのをやめます」は通常認められません。提出前に退職日・引き継ぎ・次の職場の見通しをきちんと固めてから出しましょう。
退職届の書き方とフォーマット——手書き・パソコン対応の完全テンプレート
退職届には決まった書式があります。最初に結論をお伝えすると、退職理由は「一身上の都合」の一択です。人間関係が嫌だったとか、夜勤が辛かったとか、そんなことは書かなくていいし、書くべきではありません。
以下が標準的な退職届のテンプレートです。手書き・パソコン作成どちらにも対応できます。
退職届 私事、このたび一身上の都合により、 令和○年○月○日をもちまして退職いたしたく、お願い申し上げます。 令和○年○月○日 ○○病院 院長 ○○ ○○ 様 所属 看護部 ○○病棟 看護師 ○○ ○○ ㊞
病院のルールが特になければ、手書きのほうが丁寧な印象を与えます。ただし、字に自信がないなら無理に手書きにする必要はありません。パソコンで作成する場合は明朝体・12pt前後が読みやすく、印刷後に氏名だけ手書きするのも誠実な印象を与えます。
各項目の書き方を詳しく説明します。
退職届は正式な書類です。書き間違えた場合は修正液を使わず、必ず白紙から書き直してください。修正があると書き直しを求められることがあります。
家庭の事情・体調不良——退職理由別の書き方バリエーション
退職届の退職理由欄は「一身上の都合」が基本ですが、家庭の事情や体調不良の場合は一言添えることもできます。ただし、どれだけ詳しく書いても読み手が「ふーん」で終わるので、シンプルが一番です。
私の同期が育児のために退職したとき、「家庭の都合上やむを得ず」と書いたら師長から「退職届に詳しく書かなくていいのよ」と返ってきたそうです。かえって気を遣わせてしまったと悔やんでいました。それ以来、私は退職理由は一行で済ませることをすすめています。
| 退職理由 | 退職届の書き方 | 備考 |
|---|---|---|
| 転職・キャリアアップ | 一身上の都合により | 具体的な転職先は書かない |
| 結婚・出産 | 家庭の事情により | 詳細は不要 |
| 育児・介護 | 家庭の事情により | 詳細は不要 |
| 体調不良・病気 | 一身上の都合により | 病名は書かなくてよい |
| 人間関係・ハラスメント | 一身上の都合により | 絶対に本音を書かない |
人間関係やハラスメントが理由の場合、退職届に書いてしまうと証拠書類になってトラブルに発展することがあります。事実関係を残したい場合は、別途録音やメモで記録を取り、労基署や弁護士に相談するほうが得策です。退職届にはあくまで「一身上の都合」とだけ書きましょう。
封筒の書き方と提出マナー——細かいけど見られているポイント
退職届は封筒に入れて渡すのが基本マナーです。「そんな細かいことまで?」と思うかもしれませんが、退職は職場での最後の印象を決める場面です。封筒一枚の丁寧さが「この人はちゃんとしている」という評価につながります。
私が退職したとき、先輩から「退職届は白封筒に入れないとダメよ」と教えてもらいました。慌ててコンビニで白封筒を買いに走ったのを覚えています。封筒の選び方から表書きまで、一度しっかり確認しておきましょう。
退職届は退職日の1〜2ヶ月前が目安です。就業規則に「1ヶ月前までに提出」などの規定があればそれに従います。口頭で退職の意思を伝えた後、正式な書類として渡すのが一般的な流れです。師長への口頭での意思表示が先で、退職届はその後の正式な手続きと考えるとわかりやすいです。
提出先は基本的に直属の上司(師長)です。師長から看護部長・事務局へと渡してもらうのが通常の流れです。やむを得ず郵送する場合は、簡易書留など受け取りを確認できる方法を選び、コピーを手元に残しておきましょう。
退職届を出した後にやること——手続きと引き継ぎの進め方
退職届を提出してからも、やるべきことは意外と多くあります。退職直前に焦らないよう、早めに段取りを立てておくことが大切です。私は退職届を出してから「引き継ぎ資料作る時間がない!」と後悔した経験があるので、特に引き継ぎは早めに着手することをおすすめします。
退職翌日から健康保険の資格を失います。次の職場の入職まで期間が空く場合は、国民健康保険への加入か任意継続(退職前の健康保険を2年間継続)を選択する必要があります。手続き期限(国民健康保険は14日以内)を過ぎると無保険期間が生じるので注意してください。
退職後に受け取る書類の中でも離職票は失業給付に必要なため、転職先が決まっていない場合は必ず発行してもらいましょう。転職先が決まっている場合は不要ですが、入社前にもらっておいて損はありません。
よくある質問(Q&A)
Q. 退職届を出したのに「受け取れない」と言われた場合はどうすればいい?
退職届を受け取り拒否することは法的に認められていません。「師長に渡した日付」「断られた状況」をメモに残し、内容証明郵便で郵送するか、労働基準監督署に相談することができます。退職の意思表示は口頭でも有効なので、書面とあわせて「○月○日に退職の意思を伝えた」という記録を残しておきましょう。
Q. 退職届を提出した後、撤回できますか?
退職届は「一方的な意思表示」なので、病院側の承諾なしには撤回できないのが原則です。ただし、退職日の2週間前までなら民法上は撤回できる余地があります。実際には病院側との交渉次第になるため、「やっぱり続けたい」と思ったらすぐに師長に相談してください。ただし、一度退職届を出すと職場の信頼関係に影響することは覚悟しておきましょう。
Q. 退職届は手書きでなければいけませんか?
法律上はパソコン作成でも問題ありません。ただし、病院によっては手書きを慣習としている場合があります。就業規則や先輩に確認しておくのが確実です。どちらでも問題ない場合、字に自信があれば手書きのほうが丁寧な印象を与えますが、読みにくい手書きよりも整ったパソコン作成のほうが良い場合もあります。
Q. 退職日は自分で決めていいですか?
希望日を申し出ることはできますが、最終的には職場と相談して決めます。就業規則に「1ヶ月前までに申し出ること」などの規定がある場合はそれに従います。法律上は2週間前の意思表示で退職できますが、看護師は引き継ぎが必要なため、できるだけ余裕を持って(1〜2ヶ月前)伝えるのが現実的です。
まとめ
- 退職届と退職願は別物——退職届は撤回不可、退職願は承諾前なら撤回できる
- 退職理由は「一身上の都合」が基本——本音はどんな事情でも書かなくてよい
- 手書き・パソコンどちらでも可——病院のルールに従い、修正液は厳禁
- 封筒は白無地・縦書きで「退職届」と表書き——封をしてから手渡し
- 提出タイミングは退職日の1〜2ヶ月前——就業規則の規定を確認する
- 提出後は引き継ぎ・書類受け取り・保険手続き——退職後14日以内の手続きを忘れずに
- 受け取り拒否されたら内容証明郵便か労基署へ——記録を残しておくことが大切
退職届は「書いて出して終わり」ではなく、円満退職のための大事なステップです。正しい書き方とマナーを押さえておけば、必要以上に緊張したり悩んだりしなくて済みます。まずは自分の病院の就業規則を確認して、どの書類が必要かを把握するところから始めてみてください。
退職の流れ全体については「看護師の退職手続き完全ガイド|流れ・書類・期限を一気に解説」もご参照ください。退職前の有給消化については「看護師が退職前に有給消化する方法と注意点」が参考になります。

