「辞めたいと思っているけど、実際どうやって退職すればいいの?」「退職の流れがわからなくて、なかなか動き出せない……」
看護師として働いていると、退職を考え始めたとき、手続きの複雑さに途方に暮れることがありますよね。私自身、はじめて退職したときは本当に何も知らなくて、師長に伝えるタイミングも書類の出し方もわからず、同期に教えてもらいながら進めた記憶があります。
この記事では、看護師が退職を決めてから実際に退職するまでの全プロセスを、経験を交えながら具体的に解説します。「何をいつすればいいか」が一目でわかるように構成しましたので、ぜひ最後まで読んでみてください。
退職を伝えるタイミング――私が失敗した経験から学んだこと
退職意思はいつ伝えればいいか
退職を決意したとき、最初の壁は「いつ師長に伝えるか」です。一般的に、看護師の退職意思は退職希望日の2〜3ヶ月前に伝えるのが理想です。法律上の最短期間は2週間前ですが、医療現場では後任の確保やシフト調整に時間がかかるため、早めに伝えることが現実的です。
私が最初に退職を経験したのは、病院に就職して5年目のことでした。そのときは「早く言わなきゃ」という焦りから、師長が外来対応で忙しいタイミングを選んでしまい、「今はちょっと……」と追い払われてしまいました。改めて別の機会を作るまでに1週間かかり、そのあいだ気持ちが落ち着かなかったことを覚えています。私の周囲の看護師たちを見ても、3ヶ月前に伝えたケースはとくにトラブルが少なかった印象があります。
誰に・どのように伝えるべきか
伝える相手は、必ず直属の師長(直属上司)が最初です。先輩看護師や同僚に先に話してしまうと、噂が広まって師長への印象が悪くなることがあります。私の同期がそれで師長から「なぜ私に先に言わなかったの」と厳しく言われていたので、順番だけは守るようにしましょう。
伝えるタイミングは、師長が比較的落ち着いている朝のカンファレンス後か、日勤の終わりが狙い目です。「少しお時間よろしいですか」と声をかけ、個室や静かなスペースで話せる状況を作りましょう。廊下や詰め所の雑談中に切り出すと、後から「あのとき言ったよね」という行き違いにもなりかねません。
退職意思を伝える時期
退職希望日の2〜3ヶ月前が理想
最初に伝える相手
直属の師長(同僚・先輩より先に)
伝えるタイミング
カンファレンス後か日勤終わりが◎
退職理由の伝え方
前向きな言葉で簡潔に
引き止められたときの対処法
退職を申し出ると、多くの看護師が「もう少し考えてほしい」「後任が決まるまで待ってほしい」と引き止められる経験をします。これは職場側の人手不足という事情もあり、ある意味では仕方のないことです。しかし、意思が固まっているなら、曖昧な態度をとると話がこじれることもあります。
私が2回目の退職を経験したときも、師長から「あなたがいなくなると困る」「せめて3ヶ月後まで待ってほしい」と言われました。そのとき私が心がけたのは、感情的にならず「お気持ちはありがたいのですが、自分の将来を考えた末の決断です。退職日までの引き継ぎはしっかり対応します」と伝えることでした。引き継ぎへの誠意を示すことで、最終的には師長にも納得してもらえました。
「家族の状況が変わった」「体調面の理由がある」など、相手が引き止めにくい理由を伝えると交渉がスムーズになることがあります。退職理由の詳細を語る義務はなく、「一身上の都合」で通すことも法的に問題ありません。
退職願・退職届の違いと正しい書き方
退職願と退職届の違いを整理する
退職を伝えた後、師長から「書類を出してほしい」と言われることがあります。このとき「退職願」と「退職届」のどちらを出すべきか、迷う看護師は多いです。実際、私も最初は混乱しました。
簡単に言うと、退職願は「退職したいというお願い」で、退職届は「退職を正式に通知する書類」です。流れとしては、まず師長に口頭で意思を伝え、受け入れてもらえたら退職願を提出し、退職日が確定したら退職届を提出するのが基本です。
| 書類 | 性質 | 提出タイミング | 撤回 |
|---|---|---|---|
| 退職願 | 「お願い」ベース | 口頭で意思を伝えた後 | 承認前なら可能 |
| 退職届 | 「通知」ベース | 退職日が確定してから | 原則不可 |
退職届は一度提出すると原則として撤回できません(退職願は承認前であれば撤回可能)。提出前に退職日・所属・氏名などの内容をしっかり確認しましょう。
自分で用意する場合の書き方ルール
自分で用意する場合の基本的な書き方は次のとおりです。用紙はA4またはB5の白紙で、黒ボールペンや万年筆で手書きするのが一般的です。縦書きで「退職届」または「退職願」と書き、本文には「私儀、一身上の都合により、令和○年○月○日をもって退職いたしたく、ここにお願い申し上げます」と記入します。最後に日付・氏名・所属を書き、上司の名前と敬称を添えて封筒に入れて提出します。
封筒は白の郵便番号なしのものを選び、表面に「退職届」または「退職願」と書いて提出します。印鑑は認印でも問題ありませんが、職場によっては実印を求められることもあります。
本音の退職理由がどうであれ、退職届に書く理由は「一身上の都合により」が無難です。詳細を書く義務はありません。退職届の具体的な書き方は「看護師が失敗しない退職届の書き方完全ガイド」も参考にしてください。
職場に専用書式がある場合の確認方法
ただし、職場によっては「退職届1枚で済む」「専用のフォームがある」というケースも多いです。私が最初に退職したときは、病院の人事部に専用書式があり、手書きで用意する必要がありませんでした。書き方に迷う前に、人事部や師長に「どの書式を使えばいいですか」と確認するのが一番スムーズです。
大規模な病院ほど専用フォームが整備されている傾向があります。一方、小規模なクリニックでは「口頭だけで十分」という場合もあります。まずは職場のルールを確認してから、書類の準備を進めましょう。
退職日までのスケジュールの組み方
2〜3ヶ月前から動く理由
退職意思を伝えてから実際に辞めるまで、やるべきことは意外と多いです。看護師の場合、シフト制で働いていることや、担当患者さんへの引き継ぎが必要なことから、一般的な職種よりも退職までの準備期間が長くなりがちです。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 退職希望日の2〜3ヶ月前 | 師長に退職意思を伝える・退職日を相談する |
| 退職希望日の1〜2ヶ月前 | 退職願・退職届を提出・引き継ぎ資料の作成開始 |
| 退職希望日の1〜2週間前 | 引き継ぎの最終確認・お世話になった方へ挨拶 |
| 最終出勤日 | 全員へ挨拶・貸出物の返却・私物整理 |
| 退職後14日以内 | 健康保険・年金の切り替え手続き |
| 退職後1ヶ月以内 | 離職票・源泉徴収票の受け取り確認 |
引き継ぎ資料を余裕を持って進めるコツ
私が2回目の退職でとくに意識したのは、引き継ぎ資料を早めに作り始めることでした。担当患者さんの看護サマリー、日々の業務フロー、医療機器の管理手順など、頭の中にある情報を文章に落とし込む作業は思った以上に時間がかかります。最終週に慌てないよう、退職の1ヶ月前から少しずつ準備を進めることをおすすめします。
引き継ぎ資料を作る際は、「自分が全く知らない人が読んでも理解できるか」を意識して書くと良いです。特に担当患者さんの情報は、次の看護師がスムーズに関係を築けるよう、禁忌事項や家族との関係性なども含めて丁寧に記録しましょう。
年度末・繁忙期を避けるべきタイミング
退職日の設定には、職場の繁忙期を考慮することも大切です。3月末などの年度切り替えのタイミングは、職場が特に忙しい時期です。退職日をこの時期に設定すると師長から難色を示されることがあるため、可能であれば避けた方が交渉しやすいです。
また、自分が長期休暇(年末年始・お盆など)の直後に退職すると、「せめて休み明けまで待ってほしい」と言われることもあります。退職日は、職場への配慮と自分のスケジュールのバランスを見ながら設定しましょう。
3月末など年度切り替えのタイミングは、職場が特に忙しい時期です。退職日をこの時期に設定すると師長から難色を示されることがあるため、可能であれば避けた方が交渉しやすいです。
退職時に受け取る書類と返却するもの
退職のときは、受け取るものと返すものがあります。これを把握しておくと、最終日に慌てずに済みます。私の場合、最初の退職のとき離職票の受け取りをすっかり失念していて、あとで職場に電話して郵送してもらうという余計な手間がかかってしまいました。
必ず受け取りたい書類チェックリスト
職場から受け取る書類としては、まず離職票と源泉徴収票が重要です。離職票は退職後7〜10日程度で届くことが多いですが、次の職場への転職が決まっている場合は不要なこともあります。源泉徴収票は年末調整や確定申告に必要なので、転職先への提出も含めて必ず受け取っておきましょう。
職場へ返却するものチェックリスト
最終出勤日までに、職場から借りていたものはすべて返却する必要があります。返し忘れが最も多いのが健康保険証と入館証です。退職日の直前にリストを確認して、忘れ物のないようにしましょう。
退職後の保険・年金・失業給付の手続き
退職したらすぐに動かなければならない手続きがあります。ここが一番盲点になりやすい部分で、私の後輩が退職後の手続きを忘れて無保険期間が生じてしまい、退職直後に体調を崩して困ったという話を聞いたことがあります。これは他人事ではないので、しっかり把握しておきましょう。
健康保険:任意継続か国民健康保険か
健康保険については、退職後は職場の保険から外れます。次の職場に転職する場合は新しい職場の保険に加入しますが、転職まで間がある場合は「任意継続」か「国民健康保険」のどちらかを選ぶ必要があります。
任意継続は退職後20日以内に手続きが必要で、保険料はこれまでの約2倍になりますが、最大2年間は以前の保険を継続できます。一方、国民健康保険は市区町村の窓口で手続きを行い、前年の収入をもとに保険料が計算されます。前年の収入が高かった看護師の場合、国民健康保険の保険料が高くなることもあるので、どちらが有利か比較してから選ぶことをおすすめします。
| 任意継続 | 国民健康保険 | |
|---|---|---|
| 手続き先 | 健康保険組合 | 市区町村役場 |
| 手続き期限 | 退職後20日以内 | 退職後14日以内 |
| 保険料 | 在職中の約2倍 | 前年収入で計算 |
| 加入期間 | 最大2年間 | 次の保険加入まで |
年金の切り替えと免除・猶予制度
年金については、会社員として加入していた厚生年金から国民年金への切り替えが必要です。退職後14日以内に住所地の市区町村窓口に届け出ます。収入がない状態であれば、免除申請や猶予申請も選択肢にあります。
失業中の方は「失業特例」として保険料の全額免除を受けられる場合もあります。これは申請しないと適用されないので、転職活動中であってもハローワークや役場の窓口に相談してみてください。免除された期間は将来の年金受給額が減額される点は覚えておきましょう(納付猶予の場合は後から追納も可能です)。
失業給付(雇用保険)の申請手順
失業給付(雇用保険)については、ハローワークに離職票を持参して手続きします。自己都合退職の場合は2ヶ月の給付制限期間があります(2020年の法改正で3ヶ月から2ヶ月に短縮)。ただし、正当な理由(病気・介護・ハラスメントなど)がある場合は「特定理由離職者」として給付制限なしで受給できる可能性もあります。
申請の流れは、①ハローワークで求職申込み → ②受給資格の決定 → ③待機期間(7日間) → ④給付制限期間(自己都合の場合は2ヶ月) → ⑤失業認定・給付開始、となります。失業給付を受けながら転職活動を行うことができるため、焦らず次のステップを考える時間として活用しましょう。
健康保険の任意継続は退職後20日以内、国民健康保険・国民年金への切り替えは退職後14日以内が期限です。この期限を過ぎると手続きが煩雑になるので要注意です。
よくある質問(Q&A)
Q. 退職を申し出たら強く引き止められました。どうすればいいですか?
退職の意思が固い場合は、「お気持ちはありがたいのですが、自分の将来を考えた末の決断です」と穏やかに、しかし明確に伝えましょう。感情的にならず「退職日までの引き継ぎはしっかり対応します」という姿勢を示すことが大切です。あまりにも強引な引き止めが続く場合は、人事部に相談する方法もあります。
Q. 有給休暇が残っています。退職前に使えますか?
はい、退職前に有給休暇を取得するのは労働者の権利です。退職日から逆算して有給日数分を休める日程を師長に提案してみましょう。引き継ぎの兼ね合いで全部取得が難しいケースもありますが、あくまで権利であることを忘れずに。有給消化の具体的な進め方は「看護師が退職前に有給消化する際の注意点」で詳しく解説しています。
Q. 退職届を提出した後にキャンセルできますか?
退職願(お願いベースの書類)であれば、職場側が承認する前であれば撤回できます。ただし退職届(通知ベースの書類)は、一度受理されると原則として撤回できません。気持ちが揺らいでいる段階では、まず「退職願」という形で意思を伝えるのがおすすめです。
Q. 退職後すぐに転職先が決まっていない場合、生活はどうなりますか?
雇用保険に加入していた場合、条件を満たせば失業給付を受け取ることができます。自己都合退職の場合は2ヶ月の給付制限がありますが、その後は基本手当として一定期間支給が続きます。また、退職金制度がある職場であれば退職金も支給されます。転職活動のスケジュールについては「看護師の転職で後悔しないための完全ガイド」も参考にしてください。
Q. 退職の意思を伝えた後、職場の雰囲気が悪くなってしまいました。どうすれば良いですか?
退職を伝えた後に居心地が悪くなることは少なくありません。私も「あの人はどうせ辞めるから」という空気を感じたことがあります。ただ、最終日まで誠実に引き継ぎを続けることで、印象は必ず変わります。どんな職場でも「最後まできちんと働いた看護師」として記憶されることが、次のキャリアにもつながります。
まとめ
- 退職の意思は退職希望日の2〜3ヶ月前に、直属の師長へ最初に伝える
- 引き止められても意思が固ければ、穏やかに・明確に・引き継ぎへの誠意を示して断る
- 退職願はお願い・退職届は通知と役割が異なる。職場の書式を事前確認
- 引き継ぎ資料は退職1ヶ月前から作り始めると余裕が生まれる
- 離職票・源泉徴収票など退職時の書類は必ず受け取り確認をする
- 健康保険・年金の切り替えは退職後14〜20日以内に手続きが必要
- 自己都合退職でも失業給付は申請できる(2ヶ月の給付制限あり)
退職はゴールではなく、次のステージへ進むためのスタートです。不安も多いと思いますが、しっかり準備を整えれば必ずスムーズに乗り越えられます。「何から始めればいいかわからない」という方は、まずこの記事を手元に置きながら、一つひとつ確認していきましょう。あなたの新しい一歩を、心から応援しています。

