「退職願ってどう書けばいいの?」「退職届と何が違うの?」——退職を決めたとき、こんな疑問が頭に浮かぶ看護師さんは少なくありません。私も初めて退職願を書いたとき、何を書けばいいのか分からず、コンビニで便箋を買ってから2時間かけて調べた記憶があります。
この記事では、看護師が退職願を正しく書くための書き方・例文・提出マナーを、現役看護師の私がすべて解説します。「師長に渡せない」「受け取ってもらえない」といった看護師特有のお悩みにも答えています。テンプレートはそのままコピーして使えますので、ぜひ参考にしてください。
退職願と退職届の違いを正しく理解しよう
まず押さえておきたいのが、「退職願」と「退職届」の違いです。この2つは名前が似ていますが、法的な意味がまったく異なります。私が初めて職場を辞めようとしたとき、先輩看護師から「退職願を出して」と言われたのに、退職届のことだと思い込んでいました。危うく「承認なし=即退職宣言」になるところだったので、違いは最初にしっかり把握しておいてください。
退職願
「退職させてください」とお願いする書類。施設が承認するまでは取り消しが可能
退職届
「退職します」と一方的に通知する書類。提出後の取り消しは原則できない
口頭での申し出
まず上司に口頭で退職の意思を伝えるのが正しい順序
多くの病院・クリニックでは、最初に「退職願」を提出して施設側の承認を得てから、正式な「退職届」を出すという流れになっています。いきなり退職届を提出すると「話し合いの余地なし」と受け取られ、職場との関係が険悪になることもあります。退職後も看護師の世界は意外と狭く、同じ病院の元同僚と再び同じ職場になるケースも珍しくないため、まずは丁寧に退職願から手続きを進めるのが得策です。
また、施設によっては「退職願不要、退職届1本で済む」ところや、「専用の退職申請フォームがある」ところもあります。自分の職場の就業規則や人事担当者に確認してから書類を用意するのが確実です。
施設によっては「退職届のみ」または「専用フォーム」を使う場合があります。提出前に就業規則または師長・人事に確認しましょう。
退職願の正しい書き方(手書き版)
退職願は手書きが基本です。デジタル化が進む現代でも、病院などの伝統的な職場では手書きを求めるケースが圧倒的に多いです。私が勤めていた総合病院でも、師長から「白い便箋に手書きで」と指定されました。たった1枚の書類ですが、ここに誠意が表れると感じている管理職の方は今でも多いので、面倒でも丁寧に手書きしましょう。
用意するもの
退職願を書く前に、以下のものを準備しておきましょう。コンビニや文具店で揃えられるものばかりです。失敗したときのために、便箋・封筒は各2枚以上用意しておくと安心です。私は1回書き損じてコンビニに取りに行った経験があるので、念のため予備を用意することをおすすめします。
ペンは水性より油性のほうが滲みにくくおすすめです。万年筆を持っている場合は、フォーマルな印象を与えられるので積極的に使いましょう。ボールペンの場合は消えるタイプ(フリクションなど)は絶対に避け、書き直しが利かない油性インクを使ってください。
書き方のルールと構成
退職願には決まった書式があります。難しく考える必要はありませんが、以下の順番で書くことで正式な書類として認められます。縦書きが基本で、「私儀」はタイトル「退職願」の右端(行末)に小さめに書くのがポイントです。
| 項目 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| タイトル | 退職願 | 1行目中央に大きめに書く |
| 書き出し | 私儀(わたくしぎ) | タイトルより小さく右寄せで書く |
| 退職理由 | 一身上の都合により | 詳細は書かなくてよい |
| 退職希望日 | 令和○年○月○日をもって | 年号は元号を使う |
| 締め | 退職いたしたくお願い申し上げます | 改行して書く |
| 日付 | 提出日(令和○年○月○日) | 書類を書いた日付を記入 |
| 署名・捺印 | 所属・氏名・印 | 自署が原則。フルネームで書く |
| 宛名 | 〇〇病院長 殿 | 最終行に左寄せで書く |
退職希望日は「令和〇年〇月〇日」と元号で書くのが正式です。西暦でも間違いではありませんが、格式を重んじる病院環境では元号表記のほうが無難でしょう。日付は書類を書いた当日の日付を記入します。提出日と書いた日が違っても問題ありませんが、なるべく書いたその日に提出するのが自然です。
退職願の例文(そのまま使えるテンプレート)
以下のテンプレートをそのまま使っていただけます。○○の部分を自分の情報に書き換えてください。退職理由は「一身上の都合」だけで十分です。
退職願
私儀
このたび、一身上の都合により、誠に勝手ながら令和○年○月○日をもって退職いたしたくお願い申し上げます。
令和○年○月○日
〇〇病院 〇〇病棟
山田 花子 ㊞
〇〇病院長 △△ △△ 殿
退職理由は「一身上の都合」で問題ありません。転職・家庭の事情・体調不良など、詳しい理由を書く義務はなく、むしろ書かない方が余計なトラブルを避けられます。理由を詳しく書いたことで「もう少し続けられないか」と引き止めのきっかけを与えてしまったケースも聞きますので、シンプルにまとめましょう。
封筒の書き方と折り方のマナー
退職願は封筒に入れて提出します。封筒の書き方と退職願の折り方にもルールがあるので、しっかり確認しておきましょう。私は初めて提出したとき、封筒の表に「退職願」ではなく「退職届」と書いてしまい、師長から優しく指摘されました。受け取る側は意外と細かいところまで見ているものです。
封筒の表・裏の書き方
表(おもて)
封筒中央に「退職願」と縦書きで記入。切手は不要
裏(うら)
封筒左下に所属部署・氏名を縦書きで記入
三つ折りと封かんの方法
退職願の便箋は、三つ折りにして封筒に入れます。折り方の基本は「下を先に折り上げ、次に上を下に重ねる」形です。こうすることで、封筒から取り出して開いたとき、文書の冒頭(タイトル行)がすぐに見える向きになります。折り目が曲がらないよう、定規やカードを使って丁寧に折るのがおすすめです。
封筒の封かんは、「〆」と書いてのり付けするのが正式なマナーです。テープで留める場合も問題ありませんが、シールタイプの封かんは避けましょう。封をする前にもう一度内容を確認してから、しっかり封かんすることで、誠意と丁寧さが伝わります。
封筒に「履歴書在中」「重要書類」などの印刷があるものは使わないこと。白無地の封筒を選びましょう。
退職願を提出するタイミングと正しい渡し方
退職願は「いつ出してもいい」というわけではありません。タイミングと渡し方を間違えると、職場との関係が悪化してしまうこともあります。看護師は引き継ぎが複雑なだけに、タイミングには特に気を使う必要があります。
提出タイミングの目安
一般的には退職希望日の1〜2ヶ月前に提出するのが基本です。看護師の場合、引き継ぎや人員補充に時間がかかるため、2〜3ヶ月前に伝えるよう就業規則で定めている病院も多く見られます。就業規則に「1ヶ月前」「2ヶ月前」と明記されている場合は、それに従う必要があります。
私が初めて退職したときは、就業規則を読まずに「1ヶ月前でいいだろう」と思っていたら、実は「2ヶ月前」の規定があって師長に困った顔をされました。退職の意思を伝える前に、まず就業規則を確認することを強くおすすめします。
退職願を出す前に、まず上司に口頭で退職の意思を伝えるのが正しい順序です。「突然書類だけ渡す」のはマナー違反となりますので注意してください。
渡し方のコツ
退職願は、上司が落ち着いて話を聞ける場面で渡します。忙しい時間帯や他のスタッフがいる場所は避け、「少しお時間よろしいですか」とアポイントを取ってから個室で渡すのがベストです。渡す際には「このたびご相談があり参りました」と一言添えると丁寧な印象になります。
私の場合は師長の昼休み前15分を狙って「師長、少しよろしいでしょうか」と声をかけました。処置室ではなく師長室に移ってもらい、まず口頭で意思を伝えてから封筒を両手で差し出しました。「突然で申し訳ありません」という一言が、師長の表情を少し和らげてくれたと思います。
師長・上司が受け取ってくれない場合の対処法
退職願を渡そうとしたら「今は忙しい」「人手が足りないから困る」と受け取り拒否された——これは看護師の退職相談でよく耳にするケースです。実際、私の同僚も「師長に3回断られた」と言っていました。そんなときは焦らず、段階的に対処することが大切です。
まず、「受け取ってもらえない=退職できない」ということはありません。民法627条では、雇用期間の定めがない場合、退職の申し出から2週間で雇用関係は終了すると定められています。ただし就業規則に別段の定めがある場合はそちらが優先されることが多く、また、いきなり法律論を持ち出すと関係が悪化するので、まずは穏やかに話し合いを重ねることが重要です。
段階別の対処法としては、①別の機会に改めてお願いする、②師長では話が進まない場合は看護部長・副部長に相談する、③それでも難しい場合は人事部門に直接相談するという流れが現実的です。職場の状況によっては退職代行サービスを活用するケースもありますが、これは最終手段として検討しましょう。詳しくは「看護師の退職代行サービス完全ガイド」をご参照ください。
退職願提出後の流れ:退職届・引き継ぎ・最終日まで
退職願が承認されると、正式な退職の手続きが始まります。私が初めて退職したとき、退職願が受理されてからのことをほとんど想定していなかったので、引き継ぎで慌てた記憶があります。提出後の流れを事前に把握しておくことで、焦らずに進められます。
退職届の提出
退職願が承認されたら、施設の指示に従って退職届を提出します。施設によっては退職願=退職届として扱うところもありますが、多くの場合、退職日が確定した後に正式な退職届を別途提出します。退職届は「退職します」という一方的な通知であり、提出後は原則として取り消せません。退職届の書き方については「看護師の退職届の書き方完全ガイド」で詳しく解説しています。
引き継ぎ・残務整理
引き継ぎは退職する看護師にとって最大の責任です。担当患者さんの申し送り、ポジション固有の業務マニュアルの整備、後任者へのOJTなど、やるべきことは思った以上に多くあります。私は退職1ヶ月半前から引き継ぎ資料を作り始めましたが、それでもギリギリでした。
大切なのは「後任が困らないこと」を最優先に考えることです。引き継ぎを丁寧にやり切ることが、長年お世話になった職場への最後の恩返しになりますし、自分自身の看護師としての誇りにもなります。
有給消化と最終日の手続き
退職前に残っている有給休暇は原則として消化できます。退職願の提出と合わせて、有給消化の意向も口頭で伝えておくとスムーズです。拒否されたり難色を示された場合の対処法については「看護師が退職前に有給消化する方法と注意点」で詳しく解説しています。
最終日には、貸与品(ユニフォーム・IDカード・PHSなど)の返却と、離職票・源泉徴収票などの書類の受領を忘れずに。離職票は次の職場の入職手続きや失業給付の申請に必要になるため、必ず受け取るようにしましょう。退職後にもらえるお金については「看護師が退職後にもらえるお金の全まとめ」もあわせてご確認ください。
| 時期 | やること | メモ |
|---|---|---|
| 退職願提出後 | 退職届の提出(施設の指示に従う) | 退職日確定後に提出 |
| 〜退職1ヶ月半前 | 引き継ぎ資料の作成開始・担当患者の申し送り準備 | 早めのスタートが吉 |
| 〜退職2週間前 | 有給休暇の消化確認・残日数の把握 | 拒否された場合は交渉が必要 |
| 退職前日まで | 貸与品の返却準備・リスト作成 | ユニフォーム・ID・PHS等 |
| 最終日 | 挨拶・貸与品の返却・書類受領(離職票・源泉徴収票) | 離職票は次職場でも必要 |
よくある質問(Q&A)
Q. 退職願を書いたけど気が変わった。取り消せますか?
退職願は「お願い」の書類ですので、施設側に承認される前であれば取り消しが可能です。ただし、承認されてしまった後は取り消しが難しくなります。迷っているうちは提出を急がず、気持ちが固まってから出しましょう。
Q. 退職理由に「人間関係」や「体調不良」など本当の理由を書くべきですか?
書く必要はありません。「一身上の都合」が最も一般的で、詳細な退職理由を記載する義務もありません。詳しい理由を書くと余計なトラブルを招くこともあるため、簡潔にまとめるのが賢明です。
Q. 退職願はPCで作成してもいいですか?
可能ですが、職場の慣習を事前に確認することをおすすめします。病院など伝統的な職場では手書きを求める場合が多いです。PC作成の場合でも自署と捺印は必ず行いましょう。
Q. 退職願と退職届、どちらを先に出せばいいですか?
基本的には「退職願→施設の承認→退職届」の順です。ただし、施設によっては退職願不要で最初から退職届を求める場合もあります。就業規則や上司への相談で確認してください。
Q. 師長に受け取り拒否された。どうすればいいですか?
まずは別のタイミングで再度お願いしてみましょう。それでも難しい場合は、看護部長や人事部門に相談するのが現実的なステップです。民法上、退職の申し出から2週間で雇用関係は終了できますが、穏やかな話し合いを優先することを強くおすすめします。
Q. 退職願を郵送してもいいですか?
基本的には直接手渡しが原則です。ただし、体調不良やハラスメントなど直接渡すことが困難な事情がある場合は、郵送(内容証明郵便)で提出することも法的に認められています。この場合は上司や人事に事前に連絡を入れてから送るのが望ましいです。
まとめ
- 退職願は「退職のお願い」、退職届は「退職の通知」——承認前は取り消しが可能
- 退職願は白い便箋に黒ボールペン・万年筆で縦書き手書きするのが基本
- 退職理由は「一身上の都合」で十分。詳細を書く義務はない
- 封筒の表に「退職願」、裏に所属・氏名を縦書きで記入し白無地を使う
- 提出は上司への口頭報告の後、個室で両手渡しするのがマナー
- 提出タイミングは退職希望日の1〜2ヶ月前(就業規則を先に確認)
- 師長が受け取り拒否した場合は看護部長・人事部門に段階的に相談する
- 承認後は退職届・引き継ぎ・有給消化・書類受領と続く流れを把握しておく
退職願は、長くお世話になった職場への最後の礼儀の一つです。正しい書き方とマナーを守ることで、円満な退職への第一歩が踏み出せます。「師長に断られて怖い」「書類の形式が分からない」といった不安がある方は、この記事のテンプレートと手順を参考に、一歩ずつ進めてみてください。退職手続き全体の流れについては「看護師の退職手続き完全ガイド」もあわせてご確認ください。

