「退職金っていくらもらえるんだろう?」退職を考えはじめると、誰もが気になるお金のこと。私も最初の転職を決意したとき、10年間お世話になった病院からどれくらい出るのか、まったく見当がつきませんでした。
実は看護師の退職金は、勤続年数・職場の種類・計算方式によって大きく異なります。国立病院なら定年時に約1,800万円になる一方、クリニックでは制度自体がないケースも珍しくありません。この記事では、看護師の退職金の相場・計算方法・受け取れない場合の対処法まで、現役看護師目線でわかりやすく解説します。
看護師の退職金の相場|まずは全体像を把握しよう
退職金の金額は「どこで何年働いたか」によって大きく変わります。まずは相場感をつかんでおきましょう。同じ10年勤務でも、国立病院と民間クリニックでは数百万円の差が生まれることもあります。
国立病院(定年退職)
約1,800万〜2,000万円
公務員準拠。退職金が最も手厚い
公立病院(定年退職)
約1,400万〜1,800万円
自治体運営。国立に次ぐ水準
民間大手病院(定年退職)
約1,000万〜1,500万円
病院規模・労使協定により変動
クリニック・小規模施設
0〜数十万円
制度がない職場も多い
退職金は法律上の義務ではありません。就業規則に退職金規程がある職場のみ支給されます。入職前・転職前に必ず確認することが大切です。
看護師の退職金の計算方法は4種類ある
「退職金の計算方法がいくつかあるって聞いたけど、うちはどれ?」と思っている方も多いでしょう。病院・施設によって採用している方式が異なり、それによって最終的な金額がかなり変わります。
「基本給 × 勤続年数 × 支給率」で計算する方式。大規模病院で多く採用されています。
基本給30万円 × 勤続10年 × 支給率1.0 = 300万円
支給率は退職理由(自己都合・定年)で変わる
自己都合退職の場合、定年退職に比べて支給率が60〜80%程度に下がる病院が多いです。早期に退職するほど不利になります。
勤続年数ごとにあらかじめ金額が決まっている方式。就業規則に「勤続3年=30万円、5年=60万円…」のように明記されています。
勤続5年=60万円 / 10年=200万円 / 20年=600万円
病院ごとに設定額が大きく異なる
「1年あたり◯万円」という固定額に勤続年数をかけるシンプルな方式です。
25万円 × 勤続10年 = 250万円
中小規模の民間病院・介護施設で多い
勤続年数・役職・評価ポイントなどを組み合わせて算出する方式。管理職経験があると有利になる仕組みです。
基本給 × 勤続年数 × 功績倍率(0.8〜1.5)
師長・主任経験者はプラス評価になる場合が多い
勤続年数別の退職金相場【早見表】
「自分が今辞めたらいくらもらえるのか」を知りたい方のために、目安となる金額をまとめました。あくまで一般的な民間病院の場合の相場であり、国立・公立では1.5〜2倍になることもあります。
| 勤続年数 | 民間病院(自己都合) | 公立病院(自己都合) | 国立病院(自己都合) |
|---|---|---|---|
| 3年 | 20〜50万円 | 50〜100万円 | 80〜130万円 |
| 5年 | 50〜100万円 | 100〜200万円 | 150〜250万円 |
| 10年 | 150〜300万円 | 300〜500万円 | 400〜700万円 |
| 15年 | 300〜550万円 | 550〜850万円 | 700〜1,100万円 |
| 20年 | 450〜800万円 | 800〜1,200万円 | 1,000〜1,500万円 |
| 定年(約38年) | 800〜1,500万円 | 1,400〜1,800万円 | 1,800〜2,000万円 |
上記はすべて「自己都合退職」の目安です。リストラや病院閉鎖など「会社都合退職」の場合は、支給率が上がり受取額が増えることがあります。
私の先輩看護師は公立病院を20年で退職しましたが、退職金は約1,100万円でした。「もう数年頑張って定年まで勤めれば良かった」と話していましたが、それだけ後半の積み増しが大きいのが公的医療機関の特徴です。
退職金がもらえない場合はある?クリニック・介護施設の実態
残念ながら、退職金が一切もらえないケースは珍しくありません。特にクリニックや小規模な介護施設では、退職金制度を設けていない職場が多いのが現実です。
- 国立・公立病院(ほぼ確実にあり)
- 大手民間病院チェーン・医療法人
- 300床以上の総合病院
- 大手介護事業者(社会福祉法人など)
- 中退共(中小企業退職金共済)加盟の職場
- 個人経営のクリニック・診療所
- 小規模の有料老人ホーム・デイサービス
- 訪問看護ステーション(小規模)
- 派遣・パート雇用での勤務
- 設立から間もない医療法人
求人票に「退職金制度あり」と書いてあっても、支給条件が「勤続5年以上」「正規雇用のみ」などとなっている場合があります。面接時に支給条件・計算方式・最低勤続年数を確認しましょう。
私自身、2つ目の職場(個人クリニック)では退職金制度がなく、転職時にかなりショックを受けた記憶があります。事前に確認していれば別の選択肢もあったと今は思います。転職を検討している方は、必ず入職前に確認を。
退職金を確認する方法と転職前チェックリスト
退職金の詳細は「就業規則」に記載されています。在職中であれば人事部や総務に問い合わせれば閲覧できます。また転職時には内定後の条件確認フェーズで必ず聞いておきましょう。
「退職金規程」または「退職手当規程」を探す。人事部・総務部に請求すれば閲覧できる(労働者の権利)。
最低勤続年数(多くは3年)、自己都合と会社都合の支給率の差を確認。
上記4つの計算方式のどれかを確認。支給率テーブルも就業規則に記載されている。
計算式に現在の基本給・勤続年数を当てはめて概算を出す。不明な場合は人事に相談してOK。
内定通知書または内定面談で「退職金規程について教えていただけますか」と確認する。
退職金には「退職所得控除」が適用されるため、給与と比べて税負担が非常に軽くなります。勤続20年以下なら「勤続年数×40万円」、20年超なら「800万円+70万円×(勤続年数−20年)」が控除されます。長く勤めるほど節税メリットが大きくなります。
よくある質問(Q&A)
Q. 退職金をもらっても転職先で損をすることはありますか?
Q. 退職金制度がない職場で代わりの備えはできますか?
Q. 3年未満で退職すると退職金はもらえないの?
まとめ
- 退職金は法律上の義務ではなく、制度がない職場(クリニック・小規模施設)も多い
- 計算方式は4種類(基本給ベース・定額型・固定額×年数・功績倍率型)あり、病院によって異なる
- 勤続年数が長いほど有利で、特に後半(15年以降)の積み増しが大きい
- 国立病院が最も手厚く(定年で約1,800〜2,000万円)、クリニックは0円の場合もある
- 自己都合退職は支給率が下がるため、定年まで勤めた場合との差額を事前に計算しておく
- 就業規則の退職金規程で支給条件・最低勤続年数・支払い時期を必ず確認する
- 退職所得控除のおかげで退職金の税負担は軽く、勤続年数が長いほど控除額も増える
退職金は「働いた年月」への報酬です。転職を急ぐ気持ちはよくわかりますが、あと1〜2年勤続年数を延ばすだけで受取額が大きく変わることもあります。退職を決断する前に、まず自分の退職金の概算を計算してみることをおすすめします。
退職後に受け取れるお金の全体像については「看護師が退職後にもらえるお金の全まとめ」、退職手続きの流れについては「看護師の退職手続き完全ガイド|流れ・書類・期限を一気に解説」もご参照ください。

